足立 量則さん(看護師)

訪問入浴介護サービスとは何かご存じですか?
「入浴」といってもその形は様々。健康や美容のためだけではなく、「入浴介護」という目的でも人々の生活に大いに役立っています。
今回はそんな「訪問入浴介護サービス」を行っている看護師の足立 量則さんにインタビューを行いました。
「正しい入浴法」を学び、入浴指導士として先陣を切ってご活躍されています。(インタビュー実施日:2022年12月)

──自己紹介をお願い致します。

はじめまして。足立(あだち) 量則(かずのり)と申します。

株式会社歩美(ブービー)(ユー) ブービー訪問入浴介護ステーション(大阪府大阪市淀川区)の代表をしています。

──現在のお仕事内容についてお聞かせください。

訪問入浴介護サービスを行っています。

寝たきりの生活で、家庭の浴槽では入浴が難しい人のご自宅に、看護師1人と介護士2人が3人一組になって移動入浴車で訪問し、浴槽をお部屋の中に持ち込んで、入浴の介助をするサービスです。

こちらが移動入浴車です。瞬間湯沸かし器が搭載されており、ホースからお湯が出ます。

──なぜ入浴指導士の資格を取得しようと思いましたか?

私が介護と看護の世界に飛び込んでから約20年になります。

これまで多岐にわたって様々な研修を受講したり、資格を取得してきましたが、今まで『お風呂』に関するものにはほとんど出会うことはありませんでした。

その約20年前の訪問入浴介護の私の勤め先では、洗身方法や湯温、お湯に浸かる時間など、科学的根拠がなく、会社の規定規則通り、先輩からの申し送り通りにやるのが当たり前でした。

また、お客様から『背中が痒いから、ナイロンタオルで力いっぱい擦ってよ!』や『私は昔から熱湯の長湯なのよ。』などと言われるがまま、お客様のご希望通りのサービスを提供することが良しとされる風潮がありました。

そして、8年前に私が代表となり訪問入浴介護サービスを立ち上げたことで、”健康で身体に良い入浴とは何か”、”科学的根拠に基づいた正しい入浴方法とは何か”を一から勉強したいと思い、入浴指導士の資格を受講しました。

訪問入浴介護サービスの様子です。看護師・介護士の3人で入浴介助をします。

──入浴指導士の講義を受けて、印象的だったことはありますか?

全ての講義が新鮮で印象的でした。

『へ~。』『あ~そうなんだ。』『なるほど~。』などなど…。
目から鱗の連続で、あっという間の2日間でした。

理系美容家 かおり先生の講義、「入浴は最も安価な美容法~どんな高級化粧品より美肌になれる!~」では、皮膚の構造と役割、スキンケアのコツについて、時には化学式を用いながら詳細にご説明下さったことが一番印象的でした。

──入浴をどのようにお仕事や日常に活かしていますか?

より健康で正しい入浴ができるように、湯温、湯温の変化、入浴時間、入浴姿勢、洗浄剤・入浴剤の種類、泡の緻密さ、保湿のタイミングなど…入浴に関する様々な事にこだわりをもって、日々の訪問入浴介護サービスの仕事をしています。

社員教育にも入浴指導士の講義で得た知識を活用しています。

以前は、『お客様に綺麗に・ピカピカに気持ち良くなってもらいたい。』と、垢すりのように全身を力強くこすり洗いするスタッフもいましたが、正しい入浴方法、スキンケアの方法を社内研修することで、スタッフ皆の理解が深まり、今では「こすらず、緻密な泡で撫で洗い」を自信と根拠をもって実践できるようになりました。

私の名刺です。数ある資格の中で入浴指導士が一番上です。それだけ最重要な資格なのです!

──資格取得後、どのような活動を行っていますか?または、今後どのような活動を行っていきたいとお考えですか?

社内研修だけでなく、地域の医療機関の看護師、訪問看護ステーションの看護師・居宅介護支援事業所のケアマネジャー・福祉用具貸与事業所の相談員に対し、院内研修・事業所内研修の場で、入浴指導士として「正しい入浴方法とスキンケア」についての講義を行いました。

──資格取得を目指している方へのメッセージをお願い致します。

毎日お風呂に入ることで、「睡眠の質」も「健康度」も「幸福度」も高められ、要介護リスクは減らせるという研究結果があります。

正しい入浴方法を知ることで、自分はもちろん、家族、友人、仕事関係…、周りの人を「楽しく」「健康で」「美しく」「長生き」させてあげることができます。

不眠や頭痛、肩こりの人に適した入浴方法もありますし、乾燥肌の人に適した入浴方法、保湿ケアもあります。

ぜひ、入浴指導士に挑戦してみてください!

──ありがとうございました!