高血圧・低血圧に効く入浴法

高血圧・低血圧に効く入浴法

血圧が高めでも、
ぬるめのお湯ならOK!

●高血圧の方は、ヒートショックが起こる可能性もあるので、入り方には注意。
●低血圧の方は、「温冷交代浴」が有効!自律神経を整えましょう。

血圧が高めの人であっても、お風呂に入ることは問題ありません。
熱いお湯は控えていただきたいのですが、ぬるめのお湯であれば、血圧を下げる効果があります。
ぬるめのお湯の入浴は、血管を拡げて血流をよくするため、結果的に血圧を低くする効果があります。

ある研究によると、入浴後の8時間、血圧が下がる効果が続くとのことです。
高血圧は、血管が硬くなるため、脳卒中や心筋梗塞につながる危険性があります。
血圧が高めの方は、ぬるめのお湯にしっかりと浸かり、血圧を下げていきましょう。
しかし、注意点があります。第1章でも述べたように、
「寒い脱衣所から急に熱いお湯に浸かり、また寒いところに移る」という行為は、避けてください。
人間の体は、寒いところでは交感神経が刺激され血圧が上がるようになっています。
そこでさらに熱いお湯に浸かって血圧を上げてしまうのは危険です。
また、目安としてリビングと脱衣所の温度差が5℃以上あると、
急激な血圧の上昇につながりますので、入浴前には脱衣所を温めておきましょう。
また、ご高齢で血圧が高い方、またはそのご家族、介護者の方にも注意していただきたいことがあります。

私たちの研究グループによる研究で「入浴前の160/100を超える血圧は、
入浴に関連する事故のリスクになる」ことがわかったのです。
具体的には、入浴前の上の血圧が160以上であることが入浴事故の発生と3.63倍の関連がありました。
また、入浴前の下の血圧が100以上であることは、同様に事故と14.71倍の関連がありました。
この結果は全国2330か所の訪問入浴を実施している事業所に対して調査を行ったもので、
596件の入浴事故事例、及び1511件の正常事例を比較解析した統計学的な結果です。
もちろん、個人差もあるので、この研究結果による血圧値もやはり絶対的なものではありません。
入浴の可否判断は普段の体調などを踏まえて個別に行われるべきものであるということはご考慮ください。
あくまで安全な入浴を楽しんでいただくための日安の一つとして参考にしてください。


●低血圧
低血圧の方にも、毎日の入浴はとても有益です。
血圧が低い方が訴える症状に、めまいや立ちくらみ、起床時のだるさなどがあります。
これらの症状で悩む方におすすめなのが、第2章で紹介した「温冷交代浴」の低血圧バージョンです。
40℃程度のお風呂に3分ほど入り、その後、25℃前後の水を手足に10秒ほどかける。
これを5〜6回ほどくりかえしてください。
「血管の拡張」と「収縮」を繰り返すことで、自律神経の調整機能が高まります。
寝起きがだるく、シャキッとした朝を迎えられない方は、眠い目をこすりながら、なんとかしてシャワーを浴びてみてください。
42℃の熱めのシャワーをさっと浴びることで交感神経を刺激し、仕事モードにすばやく入ることができます。
花粉症は、ご存じのとおり、花粉に対するアレルギーです。

【最高の入浴法】 – 日本入浴協会 理事 早坂信哉 博士(医学)