風邪を患った時、お風呂に入っても大丈夫なの?

お風呂と風邪

「風邪を患った時にお風呂に入るかとうか」は、「迷いがちなお風呂と健康に関するテーマ」の典型例です。特に子供を対象にした親の立場では、その迷いも深刻になります。というのは、一昔前は「風邪の時は入浴を控える」ということが一般常識だったのが、最近では「風邪の時の入浴は問題ない」という意見が増えてきたからです。

2000年に発表されたある複数の医師たちを対象とした調査においては、肯定派が88%、否定派が12%となりました。同時に肯定派には様々な条件付きの意見も多く、医療者にも未だに迷いがあることが判ります。また高齢の医療関係者ほど、風邪の時の入浴に否定的であったことがわかっています。

これには、一般家庭の住宅事情の歴史的な変化が関係しているものと思われます。一般家庭にお風呂設備が本格的に普及してきたのは、1960年代。それまでは銭湯通いが普通で、入浴後は当然外を歩いて帰宅することになります。夏ならまだしも、冬には湯冷めすることもあったでしょう。あるいはお風呂設備が増え始めても、住宅内の空調や断熱事情は現在ほど良くなく、家庭においても湯冷めをしやすい環境があったと思われます。いうまでものなく、湯冷めは風邪を誘発・悪化させる原因となります。これらのようなことから、「風邪の時はお風呂を控える」という考え方になったのが一般的になったと考えられています。

さて、現在は家庭にお風呂があるのが当たり前となり、空調や断熱なと住宅事情も以前と比べて格段に良くなっています。お風呂に入っても湯冷めをする心配がずいぶん減っているです。実は諸外国には温かいお湯に満たされた浴槽に毎日入る習慣はありませんが、一般的に風邪だからといってシャワーやお風呂を避ける習慣はありません。もともとの体温や体質の違いなとはあるとはいえ、「風邪の時にはお風呂は厳禁」は、昔から日本だけのものだったのです。さらに風邪の原因は「ウィルス」という微小な生命体です。風邪のウィルスを殺す薬は開発されておらず、いわゆる風邪薬は咳や鼻水なとの身体の免疫反応における各炎症作用への対症療法でしかありません。一方で風邪ウィルスは熱に弱く、またそれを殺してくれる「天然の薬」は、自分の身体内の免疫システム(自血球)しか存在しません。お風呂の各作用で体内温度が上がればウィルスには苦手な環境になり、さらに免疫物質も活性化するので、風邪の根治においてはむしろプラスに働く面も多いと思われます。

また、風邪のウィルスは喉や鼻の粘膜にとりついて重症化するケースが多いですが、湿気に弱い特徴もあります。「蒸気・香りの作用」においてお風呂の湯気を吸い込めば、ウィルスを弱らせると同時に、粘膜の繊毛運動などの免疫反応も上がり、喉や鼻の不快な症状の緩和に役立ちます。なお、風邪の時にお風呂に入ったグループとお風呂を控えたグループで、風邪の治りを比べた研究があります。おそらく、これが唯一の研究と思われますが、風邪で受診した子ともへお風呂に入るよう指導した例とお風呂を止めるように指導した例で比較して、どちらも風邪の治りが変わらなかったというものです。ひとつの研究だけで結論が出せるものではありませんが、とても参考になる研究といえそうです。

このような現状を踏まえると、風邪の時のお風呂は原則入っても構わないし、むしろ風邪の症状の緩和や、ウィルス退治という根治にも繋がる可能性があります。ただもちろん、体温が38℃以下の微熱でかつ体調がある程度良い時に限り、入浴時も疲れない程度に40℃程度のお風呂にさっと入って、湯上り後は湯冷めしないよう、すぐにゆっくり休むのがコツです。

ただし風邪に似た症状でも、入浴が逆にマイナスになるような他の疾患の可能性がある場合があることも、留意しておくことも忘れないでください。

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