古い時代の日本の石鹸は「和ハープ」から

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古い時代の日本の石鹸は「和ハープ」から

お風呂のルーッは、「禊」から受け継がれる心身の洗浄が根本に流れていると、すでに述べました。しかしおわかりの通り、脂分や粘着性が高いもののような、お湯や水だけでは落ちにくい汚れもあります。そこで人々は、入浴の洗浄の目的における補助的ツールとして「界面活性剤」という物質を、古くから活用してきました。
界面活性剤とは、その分子内に水と油の両方に親和性を持つ化学構造を持ち、本来は混じり合わない両者を混合させる機能を持つ物質の総称です。その性質を利用すれば、水では落ちない脂や脂溶性の物質、頑固な汚れも洗い流すことができます。いわゆる現代においては、石鹸・シャンプー・洗剤といった類です。

界面活性剤のルーツは、天然の植物に含まれる「サポニン」という成分です。サポニンは「シャボン」の語源となったもので、日本においても「和ハープ」と呼ばれる有用植物のなかでサボニンを含むものが、石鹸や洗剤の代わりとして使用されました。「ダイズ」などのマメ科の植物、また「エゴノキ」や「ムクロジ」などの樹木の実、沖縄地方では「アカバナー(ハイビスカスの一種)」の葉にサポニン成分が多く含まれ、あるいは都市部の銭湯なとでは、米ぬかも石鹸の代わりに利用されました。

エゴノキ

エゴノキ

アカバナー

アカバナー

 

 

 

 

 

石鹸の使い方を誤ると、かえって皮膚が荒れる原因に

界面活性剤には、述べたように「脂を溶かして流す」作用があります。皮膚最上面バリアである皮脂膜の成分の主なものは、文字通り脂。そしてお肌のうるおいを保っために重要なセラミド(角質細胞間脂質)も脂でした。石鹸やシャンプーなどはこれらを溶かし、洗い流す作用を持ちます。そうすれば皮膚バリアが崩れ、異物の侵入を許して肌荒れの原因となったり、セラミド流失により角質層の水分が逃げ出して乾燥肌を招く場合もあります。

さらに皮膚表面には「常在菌」と呼ばれる細菌(バクテリア)が、なんと1兆個も暮らしています。細菌というと「病気のもと」のように思うかもしれませんが、健康である限りはこれらの細菌は悪さをしません。生息数のバランスを保ちつつ、外から来る有害な微生物や物質などから皮膚を守るバリアの役割もしていると言われます。皮脂は弱酸性でこの常在菌バランスを保つ役割をしていますが、洗い過ぎなどで皮脂が極端に減ればこの生息バランスが崩れ、常在菌が有害化したり、皮膚バリア全体の機能が落ち、様々な皮膚トラブルを招く可能性もあります。

皮脂腺の多い場所

皮脂腺の多い場所

皮脂は悪者にされがちですが、そもそも体内で生産されてバリアの目的で皮膚表面に出されるもので、本来は身体にとって重要なものです。反面、皮膚にとって多すぎる状態であったり、毛穴に詰まったりすると、細菌の餌となったり酸化したりして、臭いやニキビなどの肌トラブルのもとになったりします。
皮脂腺が多い場所の順番は、
①頭皮→顔(特に額と鼻周辺) →胸(特に上部) →背中→腕・脚となり、手のひらと足の裏には存在しません。寒い時よりも暑い季節に分泌また女性より男性の方が多く分泌される傾向があります。なお皮脂を落とし過ぎると、ホメオスターシス機能により、かえって過剰に皮脂が生産されることもあります。

現代における石鹸・シャンプーとの「正しい付き合い方」

最近は「合成界面活性剤」といわれる強力で持続性がある成分を含んだボディソープやシャンプーが販売されています。合成界面活性剤は、例えば家庭用品品質表示法(台所用、洗濯用)では「石鹸」とは表示してはならず明確に区別されています。その違いは、石鹸は天然の油脂がアルカリ性の灰汁によって酸化された成分(脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウム)がルーツであり、自然にある成分だということです。よって界面活性作用は脂や水に薄まった時点で失われ、また皮膚に残ったり、捨てられたりしても、細菌などに分解されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、合成界面活性剤は石油化学によって人工的に合成されたもので、生態系では分解されないという側面があります。また、汚れを洗い流す作用の強さを測る化学的な目安としては、界面活性度の他にPH(アルカリ度)がありますが、アルカリ度は天然石鹸の方が高い場合もあります。そもそも温かいお湯に入るだけで皮膚の脂や汚れは浮き出し、かなりの量が落ちるといわれます。よって天然石鹸であれ、合成界面活性剤であれ、皮脂や汗の成分、古くなった角質層(垢)、また皮膚に付着した汚れや異物などを、皮膚のバリア機能やうるおいを壊さない程度に利用されるべきです。

多くの皮膚科医の意見においては、頻繁に石鹸を使って洗浄する必要がある部位は皮脂の多い頭部、顔、粘膜がある陰部、また足の指の間や脇の下なとの肌が触れ合う場所に限られるとされます。それも2〜3日に1回、手で撫でるようにやさしく洗うだけで良く、さらに皮脂が少ない手足なとの部位などは、同様の洗い方で一週間に一回で十分、としています。実際に診療現場では、こすり過ぎ・洗い過ぎによると思われる乾燥肌などのトラブルが、冬期を中心に見受けられるようです。人によって分泌される汗や皮脂の量は違いますし、気候や生活環境も異なります。同じ人でも肉体労働やスポーツなとで汗をかいた日とそうでない日なとは、分けるべきでしょう。

お風呂にはお肌の汚れを落とし、血流をよくするなど、メリットもいっぱいありますが、過きたるは及ばざるがごとし、です。何事もやりすぎは禁物ですね。お肌に優しい適度な正しい入浴を心掛けましょう。

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